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日英比較のまちづくりワークショップ(2010.03.16)

ボランタリーセクターは、どう市民福祉コミュニティの主体になり得るか


ゲスト: スティーブ・ワイラー氏(英まちづくり事業体協会事務局長)
日時: 2010年3月16日(火)13~17時30分
場所: 神田・東京電機大学7号館4階
主催: 東京電機大学西山康雄研究室、NPOまちぽっと

「コミュニティの変革 」
スティーブ・ワイラー  まちづくり事業体協会事務局長

※講演会の内容の一部を紹介いたします。

DT(Development Trust / まちづくり事業体)

日英比較のまちづくりワークショップ写真01最初に、DTについてお話ししましょう。DTは多様です。大きいもの、小さいもの、新しいもの、設立され20年たったもの、田舎、都心、さまざまあります。それらには、共通の特徴があります。

・独立していること=行政セクターでも民間セクターでもないこと
・貧困地域で活動していること
・自助を基本としていること
・誰かがに助けてもらうのでなく、自分たちで地域を変えようとしていること
・収益を生み出し、それを地域に還元すること
・アセット(不動産)開発を収益源としていること、それにより、独自の財源を生み出すこと

以上を通じて、社会的、環境的、経済的変化を起こすことを目標としています。

港町として昔は栄えた、ハル(Hull)という北東部イングランドで活動する「グッドウィンまちづくり事業体」というDTがあります。市の中心部に住宅団地がありますが、80%近い居住者は生活保護で暮らしています。ここは、犯罪、麻薬、売春で有名な場所でした。そこに住む数名の人が、自分たちで状況を変えようと、数年前にDTを設立しました。今ではそれが育ち、年収1,000万ポンドの規模にまで成長しました。

日英比較のまちづくりワークショップ写真02現在では美しい建物を所有しています。貧困地域だからこそ、高い品質の建物が必要と考えたのです。そのために、まず建築家を雇い、彼らに数ヶ月のあいだ現地に住んでもらい、そして地元の人と話してもらいました。このことによって地元の人は、建築家でなく、「自分たちが設計した」という気持ちを持つことができました。この組織は、ソーシャル・イノベーターとして、とても有名な事例になりました。数ヶ月前、この組織は自治体と、バスサービス提供の委託契約を結びました。今は、市の半分の区域にバスサービスを提供しています。

初期には、4,5のDTしかありませんでしたが、今は、イギリスで500近いDTが活動をしています。重要な点は、これらのDTは多くのNPOとは性質が異なるということです。その理由は、社会的ビジネスとして自分たちの活動を捉えていることによります。収益をみると、全体で27,500万ポンドの収入のうち、半分が事業収入となっています。昨年から見ても、20%の増加となっています。

もうひとつの特徴は、アセットの所有です。5億ポンド以上の資産を全体で所有しています。4年ほど前、政府は、コミュニティへのアセット・トランスファー(アセットの移転)について政策評価を行いました。その結果、アセット・トランスファーを進めるための組織が政府内にでき、現時点で、1,000以上のアセット・トランスファーのプロジェクトが進行中です。

DTA(Development Trusts Association / まちづくり事業体協会)

日英比較のまちづくりワークショップ写真03次にDTAについてご紹介します。DATは、1992年に少人数のコミュニティ活動家が集まって設立されました。最初は資金集めをしなければいけませんでしたので、民間財団から助成金をもらいました。数年後には、政府からの補助金を受けることができました。今では、全英で60名以上のスタッフを抱えて活動しています。

私たちは、いくかの明確なビジョンを持っています。
・Common ownershipであること
・すべての人が可能性を追求できること
・誰も落ちこぼれないこと
・社会的、経済的、環境的に、すべての意味で繁栄した場所になること

経済の停滞、気候変動、移民問題などに対処するためには、小規模なこのような地域での行動が、最適の、そしておそらく唯一の解決方法であると考えています。

日英比較のまちづくりワークショップ写真04コミュニティ団体が土地や建物を取得したいと思った際には、我々が支援します。また、ビジネスをはじめたいと思った際にも支援します。DTAに加盟する際には、「early warning guide」というパンフレットでヘルスチェックを受けてもらいます。そこには、団体の運営方法、経営状況に関する、多くの具体的な質問項目が掲載されています。これにより、健全な運営がされているかどうかを計ります。

専門家は外にいるのではなく、コミュニティの中、つまりわれわれの運動の中にいると考えています。そこで、コンサルティング・サービス部門を立ち上げました。DTAにとっても、各DTにとっても大きな収益源となっています。

アセット・トランスファーの活動も、たくさん行っています。今では政府も、とても協力的になってきていますが、いまだに反対や妨害の動きはあります。そのため、政府の中に支援者を増やすことが、とても大切となっています。

DTの資金源

DTのための資金源としては、アドベンチャー・キャピタル・ファンドとコミュニティ・ビルダーズ・ファンドがあります。アドベンチャー・キャピタル・ファンドは、活動の初期に政府を説得し、200万ポンドという小さな規模から始まりました。このお金で、DTに半分融資・半分補助金という支援を始めました。半分は融資なので、返済してもらわなければいけません。これは重要で、「返済しなければいけない」と各団体はビジネスとして真剣に取り組むようになります。その後に、200万ポンドは1,500万ポンドに増えました。そして、さらに大きい基金として、コミュニティ・ビルダーズ・ファンドの設立を働きかけ、7,000万ポンドのファンドができました。

コミュニティ・シェアという考えは、また別の新しいものです。コミュニティの人間が、プロジェクトのシェア(株式)を買うという手法で、成功すれば、株式所有者は利益を得ることもできます。プロジェクトの資金を地域の人から集めようという考え方です。

マニフェストの発行

日英比較のまちづくりワークショップ写真05昨年、マニフェストを発行しました。DTは、さまざまな社会問題の解決に有効な方法です。その中で、政府ができることをリストアップしました。

・アドベンチャー・キャピタル・ファンドやコミュニティ・ビルダーズ・ファンドなどによって財政支援を強化する。
・アセットの取得をしやすくする
スコットランドでは「Right to Buy」という法律ができ、土地が売却に出されたときに、コミュニティ団体が最初の購入権を持ちます。同じ法律をイギリス全土に広めたいと考えています。
・委託事業からも収益を生み出せるようにする
イギリスでは、政府とボランタリーセクターが委託契約を結んでいる例が多くありますが、こういう委託事業から収益を得ることは大変です。
・Community Allowanceの導入
失業者や生活保護にある人が社会的企業や行政の部門で働くことで、自立への支援を行うものです。
・コミュニティ再投資法の設立
アメリカでは、銀行は、どの地域にお金を融資したか詳細に情報公開することが義務付けられています。貧困地域等に一定割合を融資することが義務付けられています。イギリスでも、銀行がより社会的責任を持って経営するよう、法律を改正することを求めています。

他の分野の団体とも、連携をすることを重視しています。その対象は、社会的企業連合、コミュニティ連盟などです。自分たちだけでは、すべてのことはできません。私たちの目標は、人々の暮らしを変えることです。

No more business as usual -there is another way!
(いままで通りのビジネスは終わり -違う方法がある!)

訳;宮本愛、まとめ;奥田裕之

<追記> この企画にご尽力なさった東京電機大学工学部の西山康雄教授が、企画の直後に心不全のため、ご逝去されました。先生が長年にわたって研究されてきた内容は、まさにこれから日本社会で活かされていく時期でした。大変残念でなりません。謹んでお悔やみを申し上げます。

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