Q&A 水俣病 2023年版(「季刊・水俣支援」編集部)を読む
伊藤久雄(NPO法人まちぽっと理事)
東京・水俣病を告発する会の「季刊・水俣支援」編集部は年1回、Q&A 水俣病 2023年版を編集発行している。毎年ほぼ同じ構成をとっており、4ページの中に水俣病の経緯や現状がつまっている。構成(目次)は以下のとおり。
1 水俣病の原因は何ですか
2 責任はだれにあるのですか
3 患者さんや住民は何に苦しんでいますか
4 患者さんは何人いるのですか
5 海はきれいになったのですか
6 水俣病事件や患者・住民の闘いは、私たちの暮らしとどこでつながっていますか
資料 水俣病の研究・記録・表現(抄)
最大の問題は、公害健康被害補償法にもとづく認定審査である。別紙2ページの水俣病認定患者・被害者数を見ていただきたい。認定審査会で認定された患者はわずかに3000人に過ぎず、棄却は19225人に及び、いまだに未処分の患者が1574人もおられる。
「患者さんは何人いるのですか」によれば、半世紀の間に、水俣病患者として正式に認定されたのは、新潟も含め3000人のみ。二度の政府救済策で我慢させられた人が約7万人、熊本県が「健康を調査しなければ」と考えた人数が、隣の鹿児島県民も含め47万人。まさに「ケタ違い」の、3つの数字を合わせないと、健康被害の全体像は見えてこないのだ。
現在係争中の水俣病訴訟は、国家賠償法/民事訴訟4件、行政訴訟(棄却処分取消し~認定の義務づけを求める)5件、計9件である。東京発行の全国紙ではほとんど報道されないが、地道で厳しい闘いが続けられている。
今後とも水俣病関連の報道に関心を持ち続けることが、現在も発生し続けている環境破壊、自然破壊に抗していくことにつながるのだと思う。昨年公開された映画、J・デップ主演「MINAMATA」や原一男監督「水俣曼荼羅」などもまだ未鑑賞の方はぜひ鑑賞されたいと思う。
なお、東京・水俣病を告発する会の連絡先は別紙の最後に記されている。
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