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論文紹介 フランスの非公務員:日本型非正規公務員との対比という観点から

伊藤久雄(NPOまちぽっと理事)

 本稿で紹介する上記論文の著者と掲載誌は以下のとおりである。

〇 著 者:薬師院はるみ氏(金城学院大学文学部教授、図書館情報学)

〇 掲載誌:自治総研通巻536号 2023年6月号(発行:(公社)地方自治総合研究所)

 私がぜひ本蘭で紹介したいと思ったのは、以下の理由による。

  • 日本における自治体公務員制度と非正規公務員制度(現在は会計年度任用職員制度)は、一般にはよく知られているとは言い難いこと。
  • 日本の制度を諸外国と比較する先行研究が本論でも紹介されているが、著者によれば、必ずしも諸外国の制度が正確に訳されてはいないとされること。
  • フランスの公務員制度と非公務員について、私にとっては非常によく解説されており、今後の日本における非正規公務員制度(会計年度任用職員制度)の改革を考える上で、大いに参考になると思われること。 などである。

 本論は主に以下の諸点が詳細に述べられている

⊡ 翻訳語による先入観を遠ざけるために

  本論では、「正規任用」職員に「公務員」という訳語をあて、私法上の職員も含め、公的部門に勤める「公務員」以外のすべての職員を「非公務員」と総称している。

  著者によれば、フランスの非公務員は日本の会計年度任用職員制度が標的にするような「非正規」の存在ではないからだ。

⊡ フランスの公務員制度

  公務員一般身分規定、競争選抜、職階、職団及び職群、級、号などが解説されている。

⊡ フランスの非公務員

   任用されていない職員(私法上の非公務員)、公法上の非公務員(任用ではなく公法上の契約で配属)などが解説される(詳細には別紙PDF参照)。また「契約公的職員の報酬」という項を立てており、非公務員の平均月収は公務員の75%から85%程度になるという。この非公務員の月収の低さについて、政府の年次報告書では、年齢(40歳未満の割合が高い)や勤務時間、職務の違いが要因であると結論づけられているとされる。

著者は、次の言葉で長文の論文を締めくくっている。

『フランスでも、非公務員をめぐっては、いくつもの問題が指摘されている。しかしながら、日本とは異なり、フランスでは詳細な調査が公的に実施され、改善策が何度も講じられている。本稿が、この現実を直視する一助となれば幸である。』

本文(フランスの非公務員:日本型非正規公務員との対比という観点から)⇒こちら(pdf)