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改正国土強靱化基本法の成立と「国土強靭化」の課題

伊藤久雄(NPO法人まとぽっと理事)

 議員立法による改正国土強靱化基本法が6月14日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。 改正法では「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の後継となる計画策定を法制化し、中長期にわたり「国土強靭化」を進める。
 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(国土強靱化基本法)は平成25年(2013年(に成立した。その基本理念では次のように謳う。
第2条(基本理念)
  国土強靱化に関する施策の推進は、東日本大震災から得られた教訓を踏まえ、必要な事前防災及び減災その他迅速な復旧復興に資する施策を総合的かつ計画的に実施することが重要であるとともに、国際競争力の向上に資することに鑑み、明確な目標の下に、大規模自然災害等からの国民の生命、身体及び財産の保護並びに大規模自然災害等の国民生活及び国民経済に及ぼす影響の最小化に関連する分野について現状の評価を行うこと等を通じて、当該施策を適切に策定し、これを国の計画に定めること等により、行われなければならない。
 今回の改正は自民党がいうように、自治体、関係団体の安定的な国土強靱化の推進を求める声を踏まえたもので、「国土強靱化実施中期計画」策定の法定化を主な内容としている。
 しかし、東日本大震災以降も大地震がたびたび発生し、さらに大型台風や線状降水帯を伴う集中豪雨に全国各地で見舞われるなど、大災害が続いている。国土強靱化基本法や「国土強靱化のための3か年緊急対策」「5か年加速化対策」は「事前防災」に資してきたのかどうかなどの検証が欠かせないが、マスコミ報道などをみても検証が十分に行われているとは思えない。
 本稿では、自民党の談話やマスコミの報道を紹介するとともに、どうしたら十分な検証が可能かどうかなど、不十分ではあるが問題提起したいと考える。

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