自治体業務の民間委託と画期的な労働協約の「地域的拡張適用」
伊籐久雄(NPO法人まちぽっと理事)
以下は毎日新聞の報道である。
福岡県は1月5日、福岡市の水道検針業務について、一部の会社と労働組合が労働協約に基づいて決めた賃金の下限額などを全ての水道検針員に適用することを決めた。一部で決めた労働協約を同じ地域の同じような働き手に広げる「地域的拡張適用」を県が認めた。自治体が民間に委託する公共サービスでの拡張適用は全国初。会社間の労働条件の切り下げ競争を防ぐ狙い。今年4月から適用される。
このような自治体が民間に委託する公共サービスでの拡張適用は「全国初」である。実は私は知らなかったが、この地域的拡張適用を申し立てたのは自治労福岡市水道サービス従業員ユニオンであった。この申し立てを報じた昨年9月2日の朝日新聞デジタルによれば、福岡市から水道検針業務を委託された複数の企業の非正規労働者らでつくる労働組合(自治労福岡市水道サービス従業員ユニオン)が、そのうち2社と結んだ労働協約を市全域に地域的拡張適用するよう福岡県知事に申し立てた。その狙いは、公務の民間委託が進む中、労働条件の切り下げ競争を食い止めることにあった。
本稿では、この画期的な労働協約の「地域的拡張適用」の意義と今後の課題等について考えるものである。
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