『学校給食費無償と教育の未来――食の安全・地域共同・世均しの教育』を読む
伊籐久雄(NPO法人まちぽっとスタッフ)
本書は、中村文夫さんの最新刊である。中村さんは周知のとおり、「学校給食の公会計化」に始まる「学校給食費無償化」のリーダーであった。中村さんは、自治労学校事務協議会で長らく活躍し、退職後は「公教育計画学会」の創立にも加わった(2009年9月創立)。現在は教育行財政研究所を主宰しており、近著には「学校財政」(学事出版)、「子どもの貧困と公教育」(明石書店)、「子どもの貧困と教育の無償化」(明石書店)、「アフター・コロナの学校の条件」(岩波新書)、「足元からの学校の安全保障」(共著、岩波書店)などがある。
こうしてみると、中村さんの足跡は公教育の現場に多く残されているように見えるが、実はそうではない。中村さんの最初の本は「子供部屋の孤独」(学陽書房、1989年)という「テレビゲーム第一世代のゆくえ」を描いた本であった。私(伊藤)がこの本に出合ったのは学校事務職員の友人を通じてであったが、以後親交を深めて現在に至っている。すなわち中村さんは、子どもに対するたゆまざる関心と、深い愛情を持ち続けてこられたのだ。本書の副題が、「食の安全・地域共同・世均し(よならし)の教育」とされている意味を考えながら読み進めたいと思う。
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