論文紹介 二つの依存で成り立つ災害避難所の現状と課題
伊籐久雄(NPO法人まちぽっとスタッフ)
上記論文は下記に掲載されたものである。
掲載誌:ながさき自治研 №93号 2025年11月発行
発行元:長崎県地方自治研究センター
著 者:中村文夫
著者の中村さんは教育行財政研究所を主宰し、次のような著書がある。
『学校財政』(学事出版、2013年)、『子どもの貧困と公教育』(明石書店、2016年)、『子どもの貧困と教育の無償化』(明石書店、2017年)、『アフター・コロナの学校の条件』(岩波書店、2021年)、『足元からの学校の安全保障』(共著、明石書店、2023年)など多数。
特に公教育の無償化については、その論陣を常にリードしてきたが、今回の著作は災害時の避難所となる公立学校について、一つには公立学校への災害避難所としての過度の依存という視点、二つには自主的な防災という視点(災害時の自衛隊への過度の依存)から、住民自治としての災害避難所のあり方を論じたものである。
発災時に公立学校に避難時を開設することは、ほとんど所与にこととして考えられがちだが、本著作は現状を顧みる新たな観点を与えてくれる。ぜひご一読頂きたい。
論文掲載にあたっては、長崎県地方自治研究センターの本田事務局長から了解を頂いた。なお著者の中村さんからは、次のような追記をメールで頂いた。
追記(中村文夫)
福祉避難所の位置づけが課題として残っています。一番重要なことは、本人の選択権が実質的に保障される環境にあることです。そして、避難所で言いたかったことは希望が語られる場所であってほしい、ということです。その上で、
私は特別支援学校は分離別学なので反対です。同様に地域の中で災害時も含めて生きることが重要です。生活の場から分離した福祉避難所も望んでいません。