持続可能な地方行財政のあり方に関する研究会 報告書(案)を読む
伊籐久雄(NPO法人まちぽっとスタッフ)
総務省に設置された「持続可能な地方行財政のあり方に関する研究会」は6月16日、報告書(案)を公表した。この報告書案を伝えた時事通信は、次のようにお伝えた。『専門人材やノウハウの不足により、「適切な事務処理に困難を抱える市町村が生じている」と分析。国や都道府県が行える事務は市町村に代わって処理するなど、新たな視点での役割分担見直しが急務だと訴えた』。
はたして「持続可能な地方行財政のあり方に関する研究会」の分析や対応策は妥当なのかどうか。報告書案は3.地方公共団体における事務処理に関する課題と対応は、(1) 課題に応じた対応方策の検討の視点、(2) 課題への対応方策の適用方法、(3) 公務人材の確保など、課題を広く捉え、論点も相当に踏み込んで展開していると思われるので、ぜひ一読いただきたいと思う。
ただし本稿では、7.税財政面での課題対応等について少し詳しくみておきたいと思う。それは、「東京都以外に支店を持たず東京都のみに納税する法人が増加し、このような経済社会構造の変化に伴い、東京都に事業活動の実態以上に税収が集中しているとの指摘がある」として、「若年層をはじめとする東京都への人口の更なる集中を加速化し、地方部における人材確保を一層困難とするとともに、地域の活力の低下や一極集中の弊害がより深刻化するおそれがあるのではないか、との指摘もある」としているからである。私(伊藤)も、地方行財政のあり方から東京一極集中の課題を論じることが重要だと考えている。
なお、当研究会に設置された「大都市における行政課題への対応に関するワーキンググループ」の「主な意見」のうち、「三大都市圏を取り巻く状況とこれを踏まえた検討の視点」については、「大都市における行政課題への対応に関するワーキンググループの論点から」と題して「まちぽっとリサーチ」に掲載したので参照されたい。
本文 ⇒こちら(pdf)
大都市における行政課題への対応に関するワーキンググループの論点から報告書案の構成
https://machi-pot.org/?p=4817